ウイルスと突発性心筋症
突発性心筋症は原因不明の心臓病で心筋が薄くなって弾力がなくなり収縮力が低下する拡張型と
心筋が肥大して心室が狭くなるために血液を十分に送り出せなくなる肥大型があります。
1960年代にイギリスでコサッキーウイルスの感染が流行したとき、拡張型心筋症が増加したことから
コサッキーウイルスの心臓病への関与が注目されました。その後、大阪医大の研究チームが
拡張型心筋症患者の心筋を調べて26人中9人がコサッキーB型ウイルスに
感染していることを突き止めました。
また京都大学の研究チームは拡張型心筋症患者の心筋を調べ31人中6人からC型肝炎ウイルスを
検出し、C型肝炎ウイルスの心臓病への関与を指摘しました。さらに拡張型心筋症と肥大型心筋症の
両方の患者についてC型肝炎ウイルスの抗体を調べたところどちらも一般の人に比べて抗体の
保有者が多く、心筋症患者にC型肝炎ウイルスに感染したことのある人が
多いことが明らかになりました。
これらのウイルスに感染すると、体に備わっている免疫機構がウイルスの住み着いた心筋細胞を
攻撃し、そのために心筋が繊維化して弾力を失い、拡張型心筋症になるのではないかとされています。
また一部の拡張型心筋症は自己免疫性疾患で免疫機構の働きがくるって自分自身の
心筋細胞を攻撃するために起こるとする研究もあります。肥大型心筋症の一部は遺伝性の
ものであることが明らかになっていますが、ウイルス感染の関与も明らかになっています。

ゴルフ場での突然死
ゴルフ中に突然死した373件についての分析調査では心筋梗塞などの心血管疾患が86%を占めて
最も多く、脳卒中などの脳血管疾患は13%でした。
年齢をみると50代34%、60代 29%、 40代19%、の順です。当然のことながら高血圧や糖尿病などの
病気を持っている人が多いのですが(65%)亡くなった人の4人に1人はこれといった病気もなく
健康であることを自負していたということです。
時間帯を調べると午後2時台が16%午後1時台が15%午前11時台が13%という順になっています。
病気のない人たちだけをみると午後1時台と2時台の合計が43%を占め、昼食後の2時間が
最も危険な時間帯といえます。
早起きして寝不足、遠いゴルフ場に行くために疲れ、時間に追われて忙しくプレーし、
勝負にこだわるためにストレスがかかり、昼食でアルコールを飲み、食後にすぐプレー再開と
悪条件が重なるために、健康によいはずのゴルフで命を落とすことになるのです。
食事をすれば、それだけで脈が速くなり、アルコールを飲めばさらに早くなり、また水分が失われて
血液が濃くなりますから、血栓ができやすく、心筋梗塞の危険が高まるのです。